動物が話すことの気持ち悪さと、悪者の扱い方について【ジャングルブック】
最初に書いておきますが、面白かったです。
CGが飛び抜けて美しく、むしろ実写よりも綺麗でした。(実際のジャングルはあれほどまでに綺麗ではないでしょう)
昨年はVR元年だったと思っているので、ここまで美しい仮想世界と更に進化したVR技術が一体になれば物凄いものが出来そうだと勝手に楽しみにしています。
加えて、個人的に今後研究が進んで欲しいと思っている分野は「夢」の世界です。
夢を思うがままに見る事ができるようになれば、娯楽、学習、生産等々に大きなインパクトが与えられるはずです。
楽しみですね。(他力本願)
さて、本題です。
ジャングルブックについて。
冒頭に書いたように、作品としてはとっても楽しく観ることが出来ました。
ドキドキハラハラワクワク。
ゲオには「家族で見たい映画No.1」と紹介されていたほどです。
しかしながら、趣味とはいえ物語を考えることの多い立場から、思ったことが2点ありました。
①リアルな動物がしゃべることの気持ち悪さと、②悪者を悪者として描くことの違和感、です。
まず①ですが、前提としてアニメや文章作品は除きます。
あくまでも、リアルなCGあるいは実写の動物の場合です。
作中では動物同士が会話をします。
ジャングルには掟があり、乾季になり水場が限られてくると争いを起こさない平和な期間が存在します。
その間は誰もが水場で争いを起こしません。
肉食、草食関係なく、おとなしく水を飲むのです。
「今は争いは禁止だぞ」
普段であれば捕食者である肉食動物に、小さな動物が言います。
現実の弱肉強食の世界ではまずありえません。
水場周りなんて格好の狩場ではないのでしょうか。
などと突っ込むのは野暮と言うものです。
フィクション作品ですから。
しかし、これは僕の勝手な感覚なのですが、ここまでリアルな動物が話すことにとても気持ち悪さを覚えます。
食べる者と食べられる者がいる世界を匂わせながら、それぞれが会話ができるなんて、ちょっと想像したくありません。
食べられるものは最後にどんな言葉を残すのでしょうか。
意思疎通の出来る相手を食べるのはどんな気持ちなのでしょうか。
アニメならいいんです。
完全にフィクション作品として観れますから。
一緒に観ていた彼女なんて、乾季になると動物は争いをしないのかと本気で思い込んでいましたからね。
考えが古いのかもしれませんが、フィクションではすんなりと受け入れられないレベルに映像技術が進歩していると感じます。
見た目は現実そのものなのに、現実とのギャップがありすぎる、という状況はこれからどんどん増えていくでしょう。
それが面白いものならいいんです。
ただ同時に、もっと過激で、誰かのトラウマになるような物も増えていくのではないかなと、ちょっとした不安も覚えます。
夢のような話がある一方で、現実では動物たちが他の動物や人間を襲うような映像も簡単に見れてしまう時代です。
それがどのように映るかは、受け取り手次第になってしまいます。
僕は夢のあるお話が大好きです。
次に、②ですが、
これは海外作品に多くあると感じるのですが、わかりやすい悪者を準備して、それをわかりやすく退治するというストーリー構成についてです。
本作ではトラさんが悪者です。
詳しくは書きませんが、やはり最後には退治されてしまいます。
ディズニー作品は特にこういった王道のストーリーが多いですね。
悪者側の正義については深く掘り下げられません。
僕が観ていて思ったのは、トラさんが一番現実的に言いそうなこと言っているな、ということでした。
本作がリメイクであることからも、この手の話は世間にいくらでもあります。
わかりやすく、何も考えずに楽しめるからです。
そしてこの作品は楽しむためのものです。
こんな素晴らしい作品の重箱の隅をつつくような無粋な真似はせず、ポップコーンとコーラを傍らに、リラックスして観るのが正解です。
しかし、どうしても、実写と間違えるほどのリアルなCGの作品で、純粋な動物たちに人格を与えることに違和感を禁じ得ないのです。
その点、アニメや、漫画ってバランスが絶妙なんだなと改めて思ったわけです。
CG技術はものすごかったですし、見事に原作を再現していると感じましたが、僕は、ジャングルブックはアニメがいいな、と思いました。
genki
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Profile:genki
HP:カンチェンジュンガ
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